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286の人々

第0007話
小料理屋『光太郎』代表 白間 光雄さん

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小料理屋『光太郎』代表 白間 光雄さん
1978年生まれ。宮城県仙台市出身在住。小料理屋『光太郎』代表。幼少期は人来田で育つ。小中学生では野球部、仙台南高等学校へ進学後はラグビー部に所属しながら両親の手伝いをしていた。京都での修行を経て、2007年『光太郎』の2代目として働きはじめる。
https://koutarou.net
Instagram @koutarou_nagamati
世代や国境を越えてご縁を紡ぐ 小料理屋『光太郎』

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-『光太郎』さんはご両親と光雄さんの3人4脚で営んでいるんですね。
営業中は父親が刺身と天ぷら、私がそれ以外の焼物や蒸し物、お酒のセレクトなど。母親は配膳と接客をしています。仕込みは両親と私で、半々くらいに分担。
店は、私の両親がはじめて約30。最初は同じ太白区内の青山に店を構えていました。私が一緒に働き始めてからは15年経ちます。
両親はもともと岩手県宮古市出身で、父親は小学2年生の頃から唐桑半島(宮城県気仙沼市)で育ちました。高校を卒業後して大阪の調理学校を出た親父は、そのまま関西の方で修行して仙台でこの店を開業。
魚料理をメインにした理由は、父親の血筋はみんな漁師だったこともあり、魚メインの和食にしようと決めたそうです。

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左:親方、中央:女将さん

-調理師を志したのは、ご両親の影響が強いのでしょうか?
私が中学生の時に両親が店をはじめたので、学校から帰ると手伝いをしていました。目の前で仕事をする姿を見られたのは大きいですね。
それと両親が仕事で帰りが遅くなるときは、近所の商店へ食材を買いに行って自分で食事を作っていました。そのときの原体験も一つのきっかけではあったと思います。
-高校卒業後、京都で修行されたとか。修行先はどんなところでしたか?
父親に「調理師になりたい」と話したときに、「一軒目は面倒を見てやる」と言われて行き着いた先が京都でした。
一軒目は祇園のど真ん中で、舞妓さんや芸能人がたくさん来るところでしたよ。初日のお客さんが里見浩太朗さんで、店を貸切にされていたので「とんでもないところに来たな」と、身が引き締まる思いをしました。その感覚は、今でも覚えていますね。
その他にも旅館やホテルなどで経験を積んで、30歳になる年に仙台へ戻り両親と働くことにしました。

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お通しで感じる、丁寧な職人技

-ご両親と働く上で「これは変えたいな」と、思ったことはありましたか?
戻ってきた当初の『光太郎』は、年配の気難しいお客さんが多かったので「幅広い年層のお客さんが、入りやすい店にしなければ」と危機感を覚えました。
でも急に何かを変えることはせず、自然と変化してきたんです。
私を通して同年代のご家族が来てくれるようになったり、徒歩圏内に住宅が増えたことでお子様連れのお客さんもウェルカムな雰囲気をつくってきました。
-温かく迎え入れてくださるアットホーム感は、そうした雰囲気づくりの賜物だったのですね。
やはり、大手さんがやっていないことをやらないと生き残れませんからね。時代や周囲の変化に合わせて、小回りを効かせていくことを大切にしています。
最近では、開業当時から通ってくださっている年配の常連さんが、ひ孫さんの代まで全員でご来店くださったんです。
お客さんのご家庭と脈々とお付き合いが続いていることに、胸が熱くなりましたね。個人店を営んでいると、こうしたご縁に恵まれる喜びがあります。

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-遠方からのお客さんも多いと伺いました。
長町や八木山の方はもちろん、名取や県外から来てくださる方もいらっしゃいます。一番遠方だと、オーストラリアから口コミを聞いてご来店くださいました。
東日本大震災の前、近所にオーストラリアから移住してきたご夫婦がご贔屓にしてくれていたんです。震災後はお仕事の都合で帰国してしまったのですが、年に1回わざわざ足を運んでくれています。私もオーストラリアへ新婚旅行に行った際はお世話になったりと、家族ぐるみのお付き合いが続いていますよ。
そのご夫婦から評判を聞いていたオーストラリアの方が、仙台に仕事でいらしたときに食べに来てくださったのが今のところ最遠です。

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-世代や国境を越えて愛される『光太郎』さんはなんといっても、美味しいお魚料理が評判ですが、素材や仕入先にもこだわりがあるのでしょうか?
仕入れる食材は極力、地元に近いところで集めています。漁師さんと繋がっているお魚屋さんや太白区の農家さんから直でいただくこともあります。
お客さんに薦めされた酒屋さんなどには、休日を利用してドライブがてら足を運ぶこともしばしば。
そのため現在は、夜だけの営業にしています。コロナ禍で大変なことも多いのですが、仕入先やお客さんなど、これまで築き上げてきたご縁を切らしたくないと思っています。
食材だけではなく、こうしたところも私たちの「こだわり」ですね。

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-直接顔を合わせることは、とても大切なことですよね。デジタル化の進む現代だからこそ、その必要性は見直されてきている気がします。
そうですね。仕事はもちろんですが、いまの子どもたちにも原体験を通した学習や生活力みたいなものを身につけていってもらえたらと思います。
私には小学2年生になる息子がいるのですが、物心がつくころには調理場に出入りしていました。そのためか小学1年生になったときには、臆することなく包丁で野菜を切ったりできていたんです。
子どもは、親のすることを自然と見てるんですよね。

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-頼もしい息子さんですね!
常連のお客さんがいらっしゃるときは、おしぼりを出したりもしてくれるので良い社会勉強になっています。だから、息子と同年代の子どもたちには「積極的にお母さんの手伝いで台所にたってほしいな」と、息子を見ていて感じるんです。
いまはコンビニで惣菜などのお弁当を手軽に買うことができるため、料理ができなくてもお腹を満たせます。しかし原体験を通すことで、社会に出るための準備を少しずつ積み重ねていくことは大切だと思うんです。
-それでは最後に、太白区民のみなさんにメッセージをお願いいたします。
毎日、食材を仕入れるところから自分たちでやっています。素朴な料理ですが、ぜひ食べにきてください!
アットホームな雰囲気で店をやっておりますので、気になった方はぜひ一度お越しいただければ幸いです。

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-お知らせ
魚料理を中心に、朝採りの新鮮な食材を使った料理を提供する家族経営の小料理屋です。料理に合わせた地酒もご用意しております。
また初めての方でも、すぐ馴染めるアットホーム感が自慢!お子様連れのお客さんも安心して食事ができます。

小料理屋 光太郎(仙台市太白区砂押町22-35)

[営業時間]月〜土(17:00〜23:00)
[電話番号]022−746−5371
[URL]https://koutarou.net
[Instagram]Instagram @koutarou_nagamati

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