このコーナーでは、286ライターの
HOYAPAI(ホヤパイ)が
気になる太白区の
スポット・人・物をご紹介します!
HOYAPAI
太白区在住の太田和美
(美術家・パフォーマー)が
展開しているアート作品。
三陸の海の幸「ほや」と豊穣と象徴
「乳房」をオマージした造形で、
頭に被ったり
空間に飾ることができます。
「出会うだけで幸せになる」
という都市伝説を伝播中。
- #07
- 田舎チープな長町の夏
- あっという間に夏も終盤。子どもたちは長い夏休み終わってしまいましたね。鈴虫の声も聞こえてきて「あー、もう秋なのね」と黄昏たくなる今日この頃。皆様、いかがお過ごしでしょうか?
そんな秋の気配を感じはじめると、私はよく子どもの頃の夏休みを思い出します。
犬と散歩した田園に広がる稲の香りやドライブで流していたカセットテープの音楽、家族で行ったプールの冷たさや塩素臭など…。
同じ景色や感覚に触れることで、当時の記憶が蘇ってきますよね。
長町町民の夏の思い出の定番といえば、やはり『仙台市営長町プール(以下、長町市民プール)』!
高校生まで栃木県で育った私は、夏休みになると仙台の祖父母の家に帰省していたので、幼少期は祖父に連れられて『長町市民プール』でよく水遊びをしたものです。
- -『長町市民プール』がなくなっていた!
- 2006年のお盆に流れた「長町市民プール、老朽化のため廃止」というニュース。当時、東京にいた私は知るよしもなく、東日本大震災後に知ることとなりました。
長町公園(現:鹿野公園)に開設された『長町市民プール』は、太平洋戦争後の1964年(昭和39年)に開設された市営プール。
長町小学校出身の母(60代)は、プールの授業をこの市民プールで行なっていたそうです。学校にプールが設置されていることが当たり前だと思っていたので「わざわざ学外にプール!?」と、ちょっとしたカルチャーショックでした。
同時期に、西公園の市民プールも
地下鉄東西線の着工のため廃止されています。
- -大好きだった、クジラのすべり台
- 市民プールには子ども向けの浅いプールとともに50mの競技用プールがありましたが、小さかった私はもっぱら浅いプールの常連。
その浅いプールには「クジラのすべり台」があり、子どもたちに大人気でしたね。
大体130cm高と30cm高のものが並んで設置されていて、子どもたちが列をなして次々と滑っていました。私もこのすべり台が大好きでした。
私の幼少期にはプールの外壁に沿ってヤシの木が植えられ、ほんの少し漂う南国感が子ども心をくすぐる演出もあったので、映像や写真を見るとそんな田舎チープ感が愛おしく感じます。(笑)
- -小中学校のプールは、再び学外プールの時代へ
- 太平洋戦争後に広まった市営プールは学校・屋内プールの普及、そして老朽化や都市計画に伴い、その役目を終えていきました。
しかし昨今では、外部の屋内プールで授業を行う学校が全国的に増えてきているそうです。
その理由は市営プール同様、老朽化による改修費用の工面難。そして、猛暑やゲリラ豪雨などで授業ができない日が多かったり、多忙な労働環境の中で教員の皆さんがプールの維持管理をしなければならないことなどが挙げられています。
学校プールは第2次ベビーブーム世代の増加に伴い、昭和40年代後半~50年代に多く建設され約50年の更新時期を迎えつつあります。(文部科学省)
- -子どもたちが心から楽しめるプールとは
- 「学校プールで授業をする楽しさを体験してほしい」「学校にプールがないのは惨め」という声も挙げられていて、子どもたちのプール事情は、時代や気象状況により大きく変わろうとしています。
私個人の見解になりますが、先に述べられているような意見は時代錯誤な感じも否めない気がしています。子どもたちのコミュニティは、今までが閉ざされ過ぎていたとも思うんです。
現代の子どもたちは、外部コミュニティでも同じような楽しさや教育を体験できる機会は増えているし、「惨め」という意見はそもそも論外。「惨め」と思ったり、蔑んだりする心こそ、学校で教育すべきところではないかと考えてしまいます。
なにはともあれ!
子どもたちにとって、これからも楽しい夏のプールの思い出がたくさんできますように!
この柳の木、懐かしい。
- -公園情報
- 『鹿野公園』(仙台市太白区山田北前町5-50)
- -次回予告
- 次回は、大年寺(門前町)発祥されている宮城県の郷土料理『おくずかけ』を紹介します!
註
『仙台市史 年表』P123、『重訂 宮城県郷土史年表』P615