このコーナーでは、286ライターの
HOYAPAI(ホヤパイ)が
気になる太白区の
スポット・人・物をご紹介します!
HOYAPAI
太白区在住の太田和美
(美術家・パフォーマー)が
展開しているアート作品。
三陸の海の幸「ほや」と豊穣と象徴
「乳房」をオマージした造形で、
頭に被ったり
空間に飾ることができます。
「出会うだけで幸せになる」
という都市伝説を伝播中。
- #04
- 人びとの気概と思いやりが込められた『音頭』
- 杜の都 仙台の初夏『仙台・青葉まつり』が5月14日と15日に、3年ぶりに開催されましたね。毎年この時期になると、すずめ踊りの祭連(まづら)や御囃子の様子をテレビで見て「もうすぐ夏か〜」と、四季の移り変わりの早さに驚きます。祭りに参加される方々は、桜に若葉が顔を出す頃になると本格的な練習をされているんでしょうね。
私は大人になってから、地域行事のためにご近所さんと準備をしたりする機会はほとんどないので、憧れています!
気分だけでもと、長町の着物屋さんに浴衣を着付けていただき、桜がまだ咲いていた舞台八幡宮(長町)にお参りしながら撮影をしてきました。
- -盆踊りでお馴染みの『音頭』の起源は、日本の民謡。
- 日本の民謡に、楽曲の主要部分を独唱者が歌い、唱和者が斉唱で掛け合いするような楽曲があり、その独唱者のことを「音頭」と呼んでいたのが、のちに楽曲そのものを呼称するようになったとされています。
私も子どもの頃は浴衣を着て、太鼓や笛などのお囃子に合わせて、やぐらの周りを踊っていました。わざと大きな振り付けしたり、聞き間違えた単語を大声で叫んだりしてはしゃいでいたのをよく覚えています。(笑)
- -日本各地で地域の伝承などを盛り込んだ『音頭』が存在していますが、太白区にはどんなものがあるのでしょう?
- 日本の音頭で広く知られているものには『東京音頭』や『炭坑節』など、明治末期から昭和初期に流布したものが多くあります。『秩父音頭』や『秋田音頭』、『河内音頭』、『江州音頭』などの地域発祥のものも全国的に愛聴されていますね。
そして我らの太白区には、50年ほど前に温泉の活性化を目的につくられた旧秋保町の『秋保音頭』と太白区の名を広げようと誕生した『太白音頭』があります。
『秋保音頭』には、磊々峡や温泉、夕暮れに映える大東岳(あづまだけ)、夜明けに現れる蔵王連峰の景色が歌われています。(作詞:高橋喜八郎/作曲:佐藤長助)
そして『太白音頭』は平成元年4月に仙台市が政令指定都市となったときに、町の有志が集まり作詞・作曲・振付を完成させたものです。振付は、日本舞踊をされている鈴木フジエさんが老人会などで指導を続けられていて、新型コロナウイルスが猛威を振るう前までは仙台市太白区文化センター(長町)で行っていました。
『太白音頭』のカセットと振付図
- -仙台の副都心「あすと長町」にも、新たな音頭が誕生!
- 長町駅東口の再開発エリアにある災害公営(復興)住宅で、2019年から開催されている「すんぷちょ食堂(主催:NPO法人アートワークショップすんぷちょ)」のイベント企画により『すんぷちょ音頭』という新しい音頭が誕生したのをご存知でしょうか?
こちらの音頭は、多世代交流と地域交流を目的につくられ、震災から10年が経ち彼岸と此岸での「再会」を生きる力に変えていこうというメッセージが込められています。
振付はYou Tubeで動画配信されていて、ダンスレクチャーの申込も受け付けていらっしゃるようです。ご興味のある方は、ぜひ!
- -『音頭』には地域と人を大切に想う、人々の気概と優しさが込められていました。
- 今回は太白区の『音頭』を調べて、時代の節目を象徴するものであったり、困難な状況から人々が立ち上がるための原動力として地域に根ざしたものが『音頭』だと感じました。
『音頭』のように生活する上で、一見なくても困らないように思えるものってありますよね。でもその一つ一つが存在することで、私たちの暮らしや仕事が成り立っていられるんだと思います。
「文化は大切」という言葉だけでは、あまりピンとこないかもしれませんが、地域と人を思いやる心こそが日々の生活を潤し、地域社会の魅力と発展に繋がっていきます。
私もこれからは、少しずつ地域行事に参加して「太白区に住んでいるんだ」という感覚を味わいたい!神出鬼没ですがHOYAPAIを見かけたら、ぜひお声がけくださいね。(笑)
- -次回予告
- 次回は、ROUTE286特集のワイナリー編として『秋保ワイナリー』さんをご紹介します。
註
(1)太白区まちづくり推進協議会「ディスカバーたいはく5号」
(2)第25回「ねんりんピック宮城・仙台2012」地域文化伝承館 報告書(P.45)
(3)NPO法人アートワークショップすんぷちょ(You Tube動画「すんぷちょ音頭」〜あすと長町バージョン〜)取材・資料協力
鈴木フジエさん