ROUTE286

ホヤパイが行く

このコーナーでは、286ライターの
HOYAPAI(ホヤパイ)が
気になる太白区の
スポット・人・物をご紹介します!

HOYAPAI

太白区在住の太田和美
(美術家・パフォーマー)が
展開しているアート作品。
三陸の海の幸「ほや」と豊穣と象徴
「乳房」をオマージした造形で、
頭に被ったり
空間に飾ることができます。
「出会うだけで幸せになる」
という都市伝説を伝播中。

#09
レンジャーたちの自然愛がこだまする 仙台市太白山自然観察の森 自然観察センター
太白団地を抜けて東北自動車道をくぐった先にある、仙台市太白山自然観察の森 自然観察センター(以下、センター)。
蝉の鳴き声が響き渡る夏真っ盛りな時にお邪魔したところ「紅葉を楽しめる秋が、一番見頃!」だということで、今日まで温めてきたこの企画。そして、見頃を既に過ぎようとしている(笑)
今回、取材にご協力くださったのは、自然観察センターのレンジャー(自然観察員)の斎 正宏(さい まさひろ)さん。在籍する4名のレンジャーの中で一番の古株だという斎さんに、センターでのお仕事や展示内容についてお話を伺いました。

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-自然観察センターは、今年で開園31年目!
太白山の麓にある太白山自然観察の森は、身近にある自然の中で市民が積極的に生きものたちとふれあえる場として1991年に設置されました。センターの館内では、観察の森に生息している動植物の写真や標本、魚やカエルなどを水槽で展示しています。
植物の写真は季節ごとに入れ替えられ、観察の森には約700種類もの植物があるそうです!標本では昆虫類や蝉の種類や特徴を観察することができます。
夏になるとセンター周辺の木などで蝉の抜け殻がたくさん採れ、標本になっているものは7種類。蝉は抜け殻だけで種類がわかるんですって!

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-レンジャーはどんなお仕事?
センターにはレンジャー(自然解説員)が常駐し、ガイドウォークや自然観察会などを開催しています。
観察の森(センターから太白山の麓までの想定4.2キロ内)を管理されていて、斎さんは「この間、木々がたくさん生い茂って太白山が見えなくなっていたところを今年の春に太白山を眺められるロケーションに整えました」と仰っていました。
そしてセンターには水槽展示もあるのですが、その水槽には近くの沼で見つけた魚やカエルが飼育されています。
こうした生き物たちを採取して、生態系の調査を行なうのもレンジャーのお仕事!「最近では『鉄魚(てつぎょ)』という、珍しい魚も見つけたんです。国の天然記念物で、本来は宮城県加美町にある魚取沼(ゆとりぬま)でしか、群れをなして泳ぐ姿を見られない魚なんですよ」と斎さん。
鉄魚のほかにも斎さんは『シュレーゲルアオガエル』というカエルを水槽で飼っているのですが、卵から孵化させて3年も飼育されているんです!
冬場は冷蔵庫で冬眠させて、春の虫が出てくる頃に水槽展示をしているんだそう。また、カエルは生きた餌しか食べないので、斎さんは自ら孵化させた鈴虫をカエルの餌にされていました。大変そう。。
しかも、たまに蓋をしっかり閉めないでいると脱走するらしいです。(笑)

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とてもシャイで、すぐ石の裏に隠れる。
ヒレが普通のフナより長くて、色が濃い鉄色しているのが特徴。

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このカエルは長生きで、10年くらい生きる。

-野生動物たちの生態をのぞき見る
水槽の隣には、森の中に設置してあるセンサーカメラで撮影した野生動物たちの写真が飾られています。
そして、展示室の右奥には研修室もありビデオ鑑賞や勉強ができるようになっていました。この部屋の外には野鳥の餌場を置かれていて、冬になると野鳥に餌をあげて窓からのぞいて観察できるコーナーが設けられています。
ここでは80種類もの野鳥を観察することができるんです!特に、夏鳥や秋口になると東南アジアなど南の方に帰っていく鳥たちは必見。
野鳥好きな人は、気品がある『三光鳥(さんこうちょう)』や斎さんも好きだという『黄鶲(きびたき)』を盛んに撮影されていくそうです。

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-太白山の自然を楽しむためのポイント!
太白山はもともと『マムシ山』と呼ばれるほど、マムシが数多く生息していました。しかし現在は、マムシを食べる猪が増えたためにマムシは少なくなったそうです。
マムシは毒蛇ですが、大人しい性格。人が危害を加えなければ、向こうから噛んでくることはほとんどありません。
斎さんは「マムシに限らず自然の中には、熊や蜂、かぶれる植物や毛虫もいます。森に入るときはそうした知識を持っておくことは大切。でも、むやみやたらと怖がる必要はありません。熊も獣道に入り込まなければ大丈夫。毎日巡回しているレンジャーですら出遭ったことはありません。恐れずに足らずです!」と、アドバイスをくださいました。
ただ太白山は現在、頂上まで行くことはできません。今年の3月16日にあった地震で、道が地割れを起こして足場が悪くなっているため、地権者(※)の方が登山を禁止しています。
くれぐれも気をつけて散策しましょう!
(※)太白山は100名ぐらいの地権者の方がいらっしゃいます。

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-レンジャーの皆さんは、自然を満喫する天才です♪センターへお越しの際は、ぜひ声をかけてみてください。
(北さん):センターの周辺は芝生が広がっていて、空がよく見えます。虫や植物も好きなんですけど、私は鳥が好きなので視界が広いところが好きです。

(新田さん):いつもセンターからつつじの丘というところを回るコースがお気に入りです。普通なら15分くらいで戻ってこられるんですが、写真を撮りながら1時間ぐらいかけて巡回しちゃいます。

(菅原さん):クワガタが好き。「やすらぎ」と「みはらし」というコースに、太白山が真正面から見える場所があるんです。その近くの樹液が出る木には、クワガタがぐちゃぐちゃと集まっているところや蝶を観察できるので、好きなスポットですね。

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-直近のイベント情報
[ガイドウォーク]
日時:毎週日曜(①10:00~11:30/②13:30~15:00)
内容:レンジャーの解説を聞きながら、自然観察の森を散策!
申込:不要

[秋色の森の自然あそび]
日時:11月26日(土) 10:00-11:30
内容:植物の様々な実を探し、種子散布の仕方や子孫を残す工夫を考えながら森を歩きます。
対象:小学生以上の方(中学生以下の方は要保護者同伴)
定員:10人(申込先着順)
持ち物:飲み物、帽子、雨がっぱ、歩きやすい服装・靴でご参加ください。
申込:11月9日(水)午前9時から電話(022-244-6115)で受付。

-施設情報
仙台市太白山自然観察の森 自然観察センター(仙台市太白区茂庭字生出森東36-63)
[開館時間]9:00〜16:30
[休館日]月曜(祝日の場合は、その直後の平日)、12/28〜1/4
[利用・駐車場]無料
[電話番号] 022-244-6115
-次回予告
次回は、カナダ出身の方がオーナーをされている、秋保にある『AKIU Canada キャンプ場&鴻巣温泉』をご紹介します!