ROUTE286

ホヤパイが行く

このコーナーでは、286ライターの
HOYAPAI(ホヤパイ)が
気になる太白区の
スポット・人・物をご紹介します!

HOYAPAI

太白区在住の太田和美
(美術家・パフォーマー)が
展開しているアート作品。
三陸の海の幸「ほや」と豊穣と象徴
「乳房」をオマージした造形で、
頭に被ったり
空間に飾ることができます。
「出会うだけで幸せになる」
という都市伝説を伝播中。

#01
ホヤパイ、長町に引っ越してきました! 奥州街道の宿場町と仙台の副都心「長町」
長町といえばIKEAやゼビオアリーナなどの商業施設をはじめ、市民病院や高層マンションがあり仙台の副都心的なイメージが強いですよね。
私は太白区育ちの両親から、都市開発以前の長町について話を聞いていました。しかし長町の歴史について興味はあったものの、改めて歴史を調べることはありませんでした。皆さんはいかがでしょう?
太白区の魅力を発信するROUTE286の第1回目ということで、少し長町についてお勉強してみました!

-仙台城の城下町からほど近い、奥州街道の「長町宿」
長町のはじまりは江戸時代。奥州街道の宿場町として整備された「長町宿(ながまちじゅく)」が基となり、当時の街道沿いには86軒の町屋敷が並んでいました。そして、仙台城や城下町で使われる木材の集積地の一つでもあった長町は、名取川に流された流し木を取り扱うなど、この頃から流通の中心でした。(1)(2)
ここで、長町にある2つの老舗をご紹介します。
-昔も今も地元民に愛され続ける蛸屋製菓の「全勝餅」
まず、長町駅西口の交差点向かいにある「蛸屋製菓」。江戸時代の寛永5年に若林城付近にて創業し、明治時代に長町へ移転しました。現存はこちらの店舗のみで、他は無関係なのでお間違いないように!看板商品の「全勝餅」は日露戦争時、縁起物として世に知られ日本橋への出店や園遊会にも供された逸品です。

-長町3丁目に本社を構え、幸せづくりを継承する「畑惣商店」
明治25年になると、長町には青果市場が設置され米穀や薪炭店が集結しました。そのうちの一軒で3丁目に本社を構える「畑惣商店」は、明治34年創業。代々、石油販売業や不動産管理会社なども開業して、現在は平成21年に東北石けん佐藤工場から商標・製造技術を継承した「坊っちゃん石鹸」の販売も行うようになりました。製造は名取工場で、安全かつ高品質な「石鹸=幸せづくり」を守り続けています。 (3)

-日露戦争を機に、物流だけではなく交通の要衝として発展
そして、ご存知の方も多い路面電車は「ちんちん電車」の愛称で呼ばれ、仙台市電と秋保電鉄は仙台市民の足とされていました。明治29年に日本鉄道(現:東日本旅客鉄道)の一般駅として「長町駅」が開業。そして秋保軌道(秋保電鉄)は大正3年に運転をはじめて長町と秋保温泉を結び、長町は物流だけではなく交通の要衝としても発達していきます。 (4)(5)
秋保軌道の車両は現在、秋保グランドホテルの向かい側でその姿を見ることができます。

-秋保軌道の駅周辺に見る変化
私が長町に引っ越してきて、1年半。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、大好きな呑み屋巡りを控える日々が続いています。長町駅周辺にはチェーン店の居酒屋だけではなく、地元の方が営む呑み屋を楽しめるのも魅力の1つ!その中でも私は、秋保軌道の駅跡地(現:たいはっくる)のすぐ側にある、呑み屋横丁「2番街」がお気に入りです。
この場所は太平洋戦争の仙台空襲(昭和20年7月10日)で被災し、戦後に長町駅周辺につくられたヤミ市があり、当時は簡易的な店舗が並んでいました。 (6)(7)

-次回予告
ここまで、長町駅周辺と奥州街道沿いの西側を取り上げましたが、他にも長町には蛸薬師堂などの寺社や魅力的な店舗・施設がたくさんあります。今後、機会を改めてご紹介したいと思います。
さて次回は、そんな長町の吞み屋横丁「2番街」を特集予定です!
店舗情報
蛸屋製菓(仙台市太白区長町5-2-2)
[営業時間]平日9:00-18:30
[定休日]日曜・祝日

畑惣商店 長町本社(仙台市太白区長町3-9-1)
[営業時間]平日9:00-18:00、土祝日9:00-17:00
[定休日]日曜


(1)『仙台市史』通史編3(近世1)308ー309頁
(2)『仙台市史』通史編4(近世2)433頁
(3)(4)『仙台市史』通史編6(近代1)246-247,282項
(5)(6)(7)『仙台市史』通史編7(近代2)291,320,514頁